「ささっ、早く中に入ろうよ!
もうずーっと目当ての料理屋さんでね、料理が滅茶苦茶美味しいって話題なのー!」

ツグミは小都音の腕を引っ張り、歩くのをリードする。

彼女はヒールのめた高いお洒落な靴を履いており、小都音は彼女が転んでしまうんではないかと気が気ではなかったが、ツグミはどうやらそういった靴を履き慣れてるらしく、多少肩の動は不自然だが健やかに歩けている。



先週から、ツグミはずっとこの店の話で騒いでいた。

彼女にしては珍しくも飲食店に興味が沸いたらしく、噂によればそこはチープな上にヤミーらしい。


当の小都音は全く行く気が起きなかった訳だが、ツグミの切実な哀願を断る事も出来なかった為、渋々付いて行く事になったのだ。