「いやーっ!!遅刻ー!!」

慌ただしく階段を駆け下り、玄関へかけこむ。

「早くしなさーい!」
お母さんの声がキッチンから聞こえる。

「もう分かってるってば!いってきます」

荒々しくドアを開け、勢いよく飛び出た。

私の名前は、咲下 綾。

私には、必ず行くところがある。
自転車をこいで10分くらいのとこの
大きな桜の木。

木に手を当て声をかけるのが習慣。

「おはよう」