俺はサイレントに設定してある携帯を取り出すとメールを確認した。

しかし、吉井からのメールなどは一切無かった。


暫くすると、飲み物を買いに行っていた2人が帰ってきた。

「あれ?今日吉井は?」
そう言ったのは眼鏡をかけた少し優等生な雰囲気を醸し出している深山光希。

初め、名簿で名前を確認したときは「ふかやま」だと思っていたが、アドレス交換の際に「みやま」であることを知った。

コイツは中学時代サッカーをやっていたらしいが、生憎この高校には「同好会」しかなく、入部を諦めたらしい。

今は高校はじめのバスケット部員だ。


「珍しいねぇ、あいつが休むなんて」
ストローをくわえて眉間に皺を寄せながらこう言うのは笠野原瑠唯。

どこか独特な自分の世界を持っており、時にはふざけ倒し、時には物事の核心を突く不思議な奴だが、実は俺は一目置いている。

ちなみにこいつのバスケはストリートで鍛えられたもので、監督の評価は良くないが、部員は絶讃している。


「誰も連絡もらってないのか?」

俺が聞くと、皆お互いの顔を見た。
肯定と捉えて良さそうだ。