俺は2ヶ月前、練習試合中の不慮の事故で靭帯をダメにしてしまい、医者から
「もう全力で走ったり跳んだりはできない」
と言われた。


ドクターストップというものだったのだろうか。


その翌日からテスト期間に入り部活は休みになったが、2週間経てば当たり前のように練習が始まっていた。

不思議と俺の心の中に未練はなかった。

普通なら悔しがるのだろうが、そう、俺は普通ではない。

部活に励む仲間にかける激励の言葉も浮かばなかったし、バスケを楽しむ奴らを見て羨望するでも怨恨を抱くでもなく、ただ無気力だった。


仲の良かった脩や他4、5人の友達は心配し、俺の引退を悲しんでくれていたが、なにぶん競争率の高いバスケ部だ。

俺の引退を喜ぶ者もいただろう。