「あぁ」

俺は自転車を表に出している慶太の背中を身ながら意志を固め、思い切ってこう聞いた。

「なんかバスケ部みたいなカッコしてんのな。どうしたんだよ」


少し棒読みのようになってしまったか……。


慶太は背中越しに答えた。

「俺もともと、こういうラフな感じ好きなんだよ。前から着てるぜ」


そうか。


俺はこれ以上会話をすることができなかった。

無念だ。


ここにいたのが俺ではなくて瑠唯だったら。
後の祭りというか、意表を突かれたというか……。

どうも婉曲表現さえできない状況に、ただ歯がゆかった。