翌日、俺は部活に行く前の慶太に話を聞こうと慶太の家の前で待った。

本日は土曜日。

本来ならば補習があるのだが、ソフトテニス部は今日の午後の試合に向けた調整のためそれを休むのだ。


思いの外早く慶太は出てきた。

しかし、その姿は今までに見ていた慶太の姿とは違っていた。

まるでバスケ部のようなスウェットを履き、少し大きめのトレーナーを着た慶太の姿。

それはまるで、俺が現役時代に見ていた「吉井龍之介」のようだった。


「おまえ……」

俺は言葉が出なかった。


慶太は俺の驚きなんて知らぬといった様子で俺に向かいこう言った。

「よう。補習遅れんなよ」