放課後、俺の目の前には脩が居た。
いや、俺の前か。

実際、椅子に浅く腰をかけ、背もたれに体を預けて俯いている俺の目の前にあるのは机だ。

脩の存在を唯一確認できるのは、その机越しに見える足だった。



窓から吹き込んでくる生ぬるい風が俺たちのいる空間を包み込む。

俺は小さく溜め息をついた。


「なあ悠太」

俺は垂れている首を動かした。声を出そうとしたが、咄嗟に出すことはできなかった。

構わず脩は話を続けた。
「俺もその問題に首突っ込んでいいか?」


こいつ……。

俺はガバッと顔を上げると、努めて穏やかに言った。

「やっぱり聞いてたのか。妙ににやにやしてたと思ったら」

それに対して脩は答えなかったが、代わりににこりと微笑んだ。