「そりゃそうかもしれないけど……それでも……、いや。やっぱりいい」

残りも皆帰って、ようやく静かに(飽くまで精神的にだが)なった。


ああは言ったものの、心底からの言葉ではない。

それは、脩が聞いていたら分かっただろう。

俺は心にもない言葉をこの口から放とうとすればするだけ、言葉が丁寧に、かつ普段は使わないような言葉が出たりする。


脩には頭を使ってしゃべるからだと説明された。

そして、これは才能だとも言われた。

しかし、逆説的にこうも言った。

「言葉は武器だ。俺は『沈黙は金、雄弁は銀』と言う言葉がわりと好きでね」

それだと、俺は銀じゃないか。

俺には脩の真意がよく分からなかった。


まぁいつものことだが。