俺は若干慌てながら受話器を取った。


「もしもし……、漆原ですが」


俺は平常心を装って電話の応答をした。

「あ、悠太君?ごめんね、忙しいときに」

電話をしてきたのは吉井の母親だった。

「いえ、どうかなさったんですか?」

「実は、龍之介のことなんだけど……」

俺はすぐに察しがついた。

が、あえて知らんぷりをした。

「どうしたんですか?」

「どこにいるか分からないわよね?家に帰っていないんだけど……」

やはりか。

「そう言えば、今日は学校に来てなかったみたいですけど」

俺はもしかすると自分の推理が当たっているのではないかと、どきどきしていた。