なりすまし

｢吉井は家から電話をしておくべきだったと考えたが、母親の予定を知らず、家にはまだ母親がいると思っていたあいつは暫く外で時間をつぶした｣


｢俺たちの連絡が通じなかったのは……?｣
疑問を投げかけるのは、いつも瑠唯だ。


それに答えたのは光希だった。

｢俺たちと連絡が取れてしまったら、先生だけじゃなくて俺たちにまで怪しまれると思ったんじゃないのか?｣

一応俺にも考えはあった。
しかしその辺は100％推量だから、何とも言えないかった。

俺は話を続けた。
｢そこで吉井は閃いた。忘れ物をしたことにして一度帰ればいい、ていう具合でな｣


｢家に帰ってみれば、母ちゃんは出かけてるし学校からの着信もあるしで大変か｣
今度は瑠唯が続けた。


｢まぁそんなとこだろう｣

俺は紙切れをポケットにしまうと、今度は携帯を取りだして時間を確認した。

公園に集まってから30分が経過していた。