全速力で走った甲斐あって、予鈴の鳴る前に教室に滑り込んだ。

「セーフ!」

 疲労感と達成感を覚えながら、自分の机にカバンを置く。

「おはよ!メール見た?」

 挨拶もそこそこに詰め寄ってきたのは、友達の美里だ。

 ――メール?

 首をかしげつつ携帯を開いてみるが、新着メールは一通もない。

「きてないよ?」

「うそ!無料サイトのやつ、転送したよ?」

「え、無料サイトの?」

 ――あ、夜中のメールか

 ろくに読まずに閉じたメールを見直すと、送信元は美里で、転送メールになっていた。

 ――♪〜♪〜♪〜♪〜

「あ、予鈴鳴った。読んでおいてね」

 美里は返事も待たずに席についてしまった。

 ――しかたない。

 自分も席に座って、メールを開いた。