「あんたのせいよ……!」
「わぁ、ひどい格好。どうしたの?」
「しらばっくれてんじゃないわよッ!!」
「彩花がちゃんと確認しないから悪いのよ」
美里は涼しい顔で、彩花を見やる。その目は蔑みを帯びていた。
「ちょ、二人とも落ち着いて……」
なだめようと声をかけると、彩花がキッとこちらを睨んだ。
「アンタモ堕チレバイイ……!!」
地の底から響くような冷たい声で言い放つと、走り去ってしまう。
「ちょっ、彩花!!」
「ほっときなさいよ」
冷たく言う美里の口元は、三日月に歪めて笑っている。
「……美里、なにか知ってるんでしょ?」
――彩花になにがあったの……。
「なにも知らないわよ?」
美里はクスクスと笑って、時計を指差す。
「予鈴、鳴るよ?」
――美里は、最後までしらばっくれるつもりだ。
私はしぶしぶ、自分の席に戻った。



