百花は忘れていた。

この遮断機が早いのを。

上がったり、降りたりするのが早いことを。

声の届かない距離。

だけど百花は必死に叫んだ。

だけど

声は届かなくて

先輩の姿は小さくなっていった。

シャンシャンシャンシャン…

遮断機は降り始めた

百花は止まらなきゃ…

と思いブレーキを力いっぱい握った。

踏み切り前の超急な坂道。

気づいてからかけるんじゃ遅い。

しかも、百花のブレーキは壊れていた。

だんだん近づいていく踏み切り

「怖い!!!」

電車は横から来てた。

百花の体は宙を舞う。

百花は固く目をつぶっていた。

パッと目を開けた。

体を走る激痛。

散らばったノート。

百花は階段から落ちた。

「百々!大丈夫っ!!?」

「いたたた…」

「だからボーとしたらダメって言ったのに!!」

いつものように友達に怒られる。