「…ん…」


僕は目が覚めた。


隣にはノアが寄り添うように眠っている。


ノアの温もりを感じる。


温もり…。


夢の中で僕は何か懐かしいものを感じていた。


温かい記憶とその後に垣間見た絶望の記憶―…。


何かが僕に迫ってくる。


朧げな幼い頃の記憶じゃない。

確かにあった存在のはじまりの記憶。


なんだった、それは?


「…ダメだ…。思い出せない…。」


僕は手を頭にやる。


この頭の中にあるはずなのに、思い出せない。


「…ルカ…」


「ノア…、起きたの?
おはよう。」


「おはよ…。ねぇ、何が思い出せないの?」


ノアは、目を丸くして僕に問う。


「…あ、いや…。
ただ、最近…。何か忘れていた記憶のような…。」


僕は説明できずに言葉を止めた。