「…大丈夫?」


ノアは、ゆっくりと僕の背中をさする。


「ああ…大丈夫。ごめん…。ありがとう。」


「そう、よかった。」


ノアは微笑んだ。


でも、次の瞬間には険しい顔になっていた。


「ここは…。
死者が転がる土地なの。自らの死に場所を求め辿り着く者…。
親兄弟に捨てられた者…。」


死臭立ち込める土地。


その中を、僕らはゆっくり歩いていく。


転がる人間は、生きているのか死んでいるのかわからない。


僕はそれを避けて歩く。

言い方は悪いけど、ここに《人間》はいない。


ただの《肉塊》だ…。


こんな場所では、人間は生きて行けない。


―今、世界は…
   人間は…??―

僕の居た地区は…、確かに楽園だった…。


パキッ…


「うわああ!!」


骨が…肉が…筋肉が…手が…人間が…。


ここは地獄だ…。