ほどなくしてノアは、落ち着きを取り戻した。


僕も、ようやくこの状況に慣れてきた。


「これから…どうするの?」


僕はノアに問い掛けた。

「…これから、見に行くの。世界を。」


「…世界を?」


僕はノアの言葉を反芻した。


「世界を見て記録するの。それは、次の世界の神話となり聖書となるもの。」


「…じゃあ、これから…?」


ノアは頷いた。


「もうすぐ着くよ。」


ガタンッ…。


舟が大きく揺れて停まった。


一瞬、吐き気がしたことを考えると異空間から出たのだと分かった。


ヴゥゥ…ン…


「…降りて。」