「…痛いね。でも、ありがとう。これで、進める気がするよ。」


「…何が…?」


「…けじめ…かな。」


僕はノアに笑いかけた。

命は軽くない。


誰かの想いの故にある重い重いものだ。


僕はその命を…見捨てることになる。


それでも、生きたい。


誰かが見て僕を、叱ったって構わない。


説教垂れてくれても構わない。

殴ってくれても構わない。


僕は、やっぱり人間なんだ。


死に恐怖を感じ、生に縋り付く。


自分を生かしてあげたい人間。


そんな人間だけど、ノアを愛してる。


ノアと共に生きることに幸せを感じる。


ならば、ノアと共に生きて…死ぬことにさえ幸せを感じる。


僕は、ノアと共に行く。

ノアが、舟を降りるというのなら僕も降りよう。

でも僕は―…《人間》だ。