僕を見透かすようなノアの瞳は僕を縛りつけた。


「………。」


答えられない。


はい、と答えたならノアを否定するようで。


いいえ、と答えたなら命を軽く見るようで。


「辛いよね。たくさん死ぬ人がいるのに、自分が生きるなんてこと。」


「…………。」


「だけど、私は生きたい。私はルカみたいに、優しい人間なんかじゃない。」


ノアは、涙を堪えながら言葉を震わせながら言う。


「私は、ルカと生きたい!…ルカだけは、置いて行きたくない!
たとえ、それが犠牲の上に成り立つものでも!!

……ルカ。軽蔑した…?」


僕は、ノアの頬を軽く叩いた。


「…ル…ルカ…?」


「…ノア、ごめん。僕も殴って。おもいっきり。」


僕は目を瞑って待った。

バチンッ。