行くなら行って!!

と叫びたいのを押さえ、唇を噛む。



視線の先には、一生懸命にご飯を運ぶアリさん達。



その頑張り様に、少し心がシャキとする。



でも声は、何一つ聞こえなくて、本当に行っちゃったの?と思う。



すると、いきなり看護師さんの怒鳴り声が響く。




「ちょっと!!
なんで無視するんですか!?

先生!!!!!!!!!」




白衣の天使とは思えない声。



私は思わず、視線を上げてしまった。




「..........ッ!!」




物音を立てずに、彼は目の前に来ていた。



その顔は、見たことが無いくらいに不機嫌で、私が悪いワケでも無いはずなのに、ビクビクしてしまう。




そのビクビクしている間にも、看護師さんは騒ぎたてていて、彼は舌打ちをすると、私から視線を外し、看護師さんを見ていた。




遠目だからよく分からなかったケド、肩をビクッとさせて、顔を青くして走り去って行った看護師さん。




今、この場には私たちしかいない。