だが、その翌日。
ハルナちゃんは思いがけないことを口にした。


「話しかけてみる」


ハルナちゃんは、確かにそう言った。
俺は「頑張れ」と背中を押す。

なんか、他人の恋愛って…おもろいな。
決して悪い意味ちゃうけど。
初めは乗り気じゃなかったけど、見てたら段々と、お節介なくらいに応援したくなってくる。


「あーでも、何て話しかけよう」


一歩踏みだしたハルナちゃんは、その一歩を再び戻す。


「ほら、今あいつ漫画読んでるやん?
 何読んでるん的な感じでいけって」


「うん、それでいく!!」


俺はハルナちゃんに拳をつき出す。
2人の拳がコツンと合わさり、ハルナちゃんが一歩踏みだす。

だが、その瞬間…先に歩み寄ったのは九条だった。


「何、読んでるん?」


さっき俺が考えたセリフを、九条はそのまま言っている。

俺は驚いたが、それ以上にハルナちゃんは切ない目を向けていた。