九条はもちろん、ハルナちゃんの気持ちを知っている。


「なにが、乙女心やねん」


俺は小馬鹿にしたように言う。


「なによ、その目は。 無神経!」


「はぁ? まさか、お前の口から゛乙女心゛がでると思わんかったわ」


俺はケラケラ笑いながら言う。
すると、九条に小突かれた。


「うるさいなぁ。 さっさと協力したげてよ」


「なんで俺やねん。 第一、本人が動かんと」


「そうやけど…。 なんとかして!」


無茶言うなやぁ。
ハルナちゃんが動かんねんから。

…結局、この日もハルナちゃんは動かなかった。