段ボール箱をおろすと、女は頭を深くさげてお礼を言った。


「ほんまに、ありがとうございます」


「ええよ、気にすんな」


立ち去ろうとすると、女が俺を引きとめた。


「これっ…こんなんで悪いですけど」


そう言って、俺の手に何かを握らせた。
「じゃあ」と言って、女は立ち去る。

手の中を見ると、懐かしい駄菓子。


「っふは。 なんやねん、あの女」


教室をでると、廊下で力也がしゃがみこんでいた。


「あれ、お前まだおったん?」


力也は驚いた目で俺を見る。
俺は「まぁな」と適当に返事をした。