「尾上くんは、焼かへんの?」


九条は力也を指差す。


「俺は食う係!」


「あほやぁ」


ケラケラ笑っていると、最前列になった。
力也は九条を見るなり、笑顔に変わる。


「おー、来たんや。 ハルナちゃんは久々やなぁ」


九条の隣にいた女は、ペコッと頭をさげる。

この子、ハルナちゃんっていうんや。
てか、力也は知り合いかよ。


「なぁ、さっきの子って」


九条たちがいなくなった後、何気なく力也に問いかける。


「お前もう忘れたん?
 バーベキューのとき、おったやんけぇ」


バーベキューって、ゴールデンウィークの?
……あんな子おったっけ。

俺が頭を悩ませていると、力也は呆れてため息をついた。