文化祭当日。

校内は、いつもより賑わっている。
明るい声が飛び交う中、俺はパイプ椅子に腰かけていた。


「拓も手伝えって」


俺のクラスは、予想以上に繁盛していた。
たこ焼き屋を催しているクラスが他にないらしい。


「ここにおるだけで、暑いし」


鉄板に近寄れば、もっと暑いやろなぁ。
サボっている俺とは違い、力也はせっせとたこ焼きを焼いている。


「飽きてけえへん?」


「そう思うんやったら手伝え」


俺はケラケラ笑って、客を眺めていた。
すると、列に並ぶ…九条の姿が目に入った。


「九条!」


俺は団扇を上にあげ、九条の名前を呼ぶ。
その声に気づいたのか、九条はこちらに目を向けた。


「あー、サボってるやん」


「まいどまいど」


俺は立ち上がり、九条の元に行く。
すると、隣には知らない女が立っていた。