「…お前自身は、どうなん?」
ナナミちゃんとの話を終えると、力也は低い声でささやいた。
「どうなんって……」
俺になんか、できることある?
曖昧な態度を取る方が、ナナミちゃんが前に進めなくなる。
「女として、好きか嫌いか。どうなんよ」
ナナミちゃんのことを、゛女゛として俺は見たことあるんかな。
…結局、俺はナナミちゃんに曖昧な態度ばっかりやった。
何があっても拒まんかった。
「俺、最低やな」
俺、こんなんやのに「ありがとう」って。
「進めてる」って言うてくれた。
「そんなん、考えてなかったわ……」
今さら、こんなん言うてもしゃあない。
でも、俺の態度に良し悪しがあったのは確か。
「ナナミちゃんは前に進めてる。それって、お前のおかげやん」
力也は優しく俺の肩をたたいた。


