「だから…ありがとう」
ナナミちゃんは目を細めて笑う。
俺は自然と、ナナミちゃんを抱き寄せた。
「大丈夫。ちょっとずつ進んでる。
…浮気癖がなくなったときは、゛本物の男゛を紹介してや」
これでよかったんかな。
でも、同情じゃないから俺はこう言えた。
゛癖゛なんやから、しゃあないやん。
俺はそう思うから。
「ナナミ、頑張るから」
…その日以後、ナナミちゃんが力也の家に来ることはなくなった。
力也の家に戻ると、部屋の中はすっきりと片付いていた。
「おかえり」
仲間たちの姿はなく、力也しかいない。
「…おう」
ちょうどよかったかもしれない。
力也に、話したかったから。
「…コンビニの話、あったやん?
あれ、気づいてたんやって」
さっきの出来事を話す。
その間、力也はただ頷いていた。


