突然の出来事に、周囲はどよめきだす。
すっかり静まり返り、視線は俺に向いた。


「悪い、……行くわ」


俺は立ち上がり、ナナミちゃんの後を追いかける。

…待ってるって、なんやねん。
ナナミちゃん、彼氏おるやろ?
コンビニで仲良さそうにしてたやん。


「ナナミちゃん!!!」


俯きながら歩く、ナナミちゃんの後ろ姿。
俺は名前を叫んで、走って腕を掴んだ。


「ごめんな」


ナナミちゃんの口から゛彼氏がおる゛とは聞いてない。
そういう場合って、俺が待たせてるよな。
はっきり言わん俺が悪い。


「もう、いいよ」


ナナミちゃんの頬は、胸が苦しくなるくらい濡れていた。


「座ろう?」


目の前に見える公園を指差す。
ナナミちゃんの手を引き、ベンチに腰かけた。