…どうしたんやろ。
俺、何かした?


「……おもんない」


ナナミちゃんはボソッと呟く。
それを聞き逃さなかった俺は、再びナナミちゃんに視線を戻した。


「拓馬くん、ルイばっかり……」


「えっ……」


ナナミちゃんの口から出た、思いもよらなかった言葉。
思わず目を丸くして、きょとんとなる。


「あたし、ずっと待ってるんやけど」


ナナミちゃんはまっすぐに俺を見つめる。

…2人の間に沈黙が流れる。
周囲は騒いでいて、こちらの空気などお構い無し。


「どういう…こと?」


「あたし、前に告白したやん。
 そっか…拓馬くんにとっては、どうでもよかったんやな」


ナナミちゃんは悲しそうな瞳を浮かべると、立ち上がって部屋を飛びだした。