君の姿




「…いける?」


俺は、あの女の腕を優しく掴んだ。

手形とかは、ないな。


「あ、うん。 ……ありがとう」


あの女は、遠慮がちにお礼を言う。
俺は「うん」とだけ言って、階段をあがり始めた。


「なぁ!!!」


すると、後ろから呼び止められる。
俺が振り向く前に、階段をあがる足音が近づいてきた。


「私も、ついて行っていい?」


あの女は、意外なことを口にする。
俺は戸惑いながらも、頷いた。

…屋上についたものの、特に話す仲でもない。
前に、星を一緒に見た日以来。
なので、2人の間に沈黙は付き物。


「………喧嘩」


そんな中、先に沈黙をやぶったのはあの女。


「強いんやな」


あの女は、前よりマシな関西弁を口にする。