寝起きから授業を受ける気になれず、俺は教室を出る。


「尾上!!」


後ろから、理科教師が自分の名前を呼び叫んでいる。
それを無視して、屋上に向かった。


「だから…無理ですって」


屋上への階段をあがっているとき、聞こえてきた声。
ゆっくりと階段をあがると、階段の途中のスペースで男女が言い争っているのが見えた。


「ここでモメんなよ」


邪魔やなぁと思いながら近づいていくと、徐々に会話が自然と耳に入ってくる。 

なんや、告白かよ。
てか、あれって…。

男女の顔が、はっきりと見える。
女は間違いなく、あの女。
男の方は、見た目からして先輩やな。


「何回言っても、無理です。付き合えません」


あの女の断る声。


「頼むって、なぁ」


男は諦めきれず、何回も同じ言葉を言い寄っている。