「ナナミのせいやんな…」


ナナミちゃんは困った顔をしながら、「ごめん」と頭を下げる。


「ちゃうねん!絶対ちゃうから」


「でも……」


…そのあとも、同じ会話が繰り返された。


「ほんまに、ちゃうから。
 てか…どないしたん?」


いきなりマンションを訪ねてこられて、驚くのは当たり前。
しかも、なんでマンション知ってんやろ。


「拓馬くん、今日休みって聞いたから。
 用あるんやったら、ここ行きって…地図書いてくれてん」


ナナミちゃんは、手に持っていた紙きれを俺に見せた。


「力也に渡された?」


あいつしかおらんやろ。
ほんま、お節介なやつ。