今日、傘持ってきてない。
ほんま最悪やぁ。
「濡れるから、早く行こ」
俺はナナミちゃんの手を引き、小走りで公園を出た。
「家どこか分からんから、道教えてな」
そう言って、俺はまた手を引いていく。
ナナミちゃんは、「右」とか「次の角を左」とか言ってくれて。
「ありがとう」
すぐにナナミちゃんの家についた。
「ええから。早く家入り」
「ちょっと待ってて! 傘持ってくるから」
ナナミちゃんは俺を気づかい、家の中に入る。
「バイバイ、ナナミちゃん」
俺はそれを確認して、来た道を戻った。
…2日連続で雨に濡れたせいか、俺は翌日、熱をだした。
『お前、今日学校けえへん?』
めずらしく、力也から電話。
いつもなら、学校に来てないくらいで電話なんかかけてけえへんのに。


