ナナミちゃんはそれを受け取り、うんと頷いた。

なんなん…この空気。
普通に、気まずい。

何、話したらいいんやろ。


「さっきさ、力也に俺の場所聞いたんやろ?
 …俺のこと、探してたん?」


とっさに浮かび上がったことを口にする。


「力也くんに、行ったげてって言われてん」


やっぱり、あいつの判断か。
余計な世話焼きやがって。

再び沈黙になりかけたが、それは突然の天候に助けられた。


「うわっ、雨降ってきたやん!」


ポタポタと降りだした雨。