下駄箱で靴に履き替えて、正門を出た。
辺りは薄暗くなってきている。


「送るわ」


そう言って、いつもとは違う方向に足を踏み入れる。

一応、待っててくれたし。
それに起こしてくれたから。


「ありがとう」


ナナミちゃんは嬉しそうに頷いた。


「いつから寝てたん?」


「んー、昼休みかな」


昼休み…そういえば、告られてるの、見たんやっけ。


「めっちゃ寝てるやん」


ナナミちゃんは驚きながらも笑っている。
俺はなんとなく、あの女の話を持ちかけた。


「あいつ…転校生って、結構モテてん?」


あの女を゛転校生゛と呼ぶ俺。
別に…名前を呼び合う仲ちゃうし。