「九条さんは、毎日のように聞いてるから、聞き飽きたかもせえへんけど。
俺…九条さんのこと、好きやねん」
えっ……マジで?
俺は驚いて、思わず声が出そうになる。
そのとき、あることを思いだした。
゛初日から、モテモテやで。すでに何人かに、告られてるし゛
…力也の話、ほんまやったんや。
現にこの男も、言ってるし。
「付き合って…くれへん?」
告られてる現場なんか、初めてみた。
今、2人はどんな顔してんやろ?
興味本意で覗こうとしたとき、あの女の声が響いた。
「ごめん。私、そういうのは…」
「あっ、うん。…うん、そっか。分かった」
男の気まずそうな声。
そして、慣れたように平然と断るあの女。
…やっぱり、なんかむかつくわ。


