そんな中、力也が立ち上がった。
そして階段をおりていく。


「あー、次数学やぁ」


力也は両腕を天井に伸ばす。
だるそうにしながらも、「お前らも入れよ」と言って姿を消した。


「俺も次、体育やし行こかな」


ユウヤは立ち上がり、階段をおりていく。
「バスケやぁ!!」と喜びながら、行ってしまった。

…1人になり、階段の最上段にあるスペースに寝ころがる。

…俺も帰ろかな。
おもんないし、眠たい。

…あっ、そういえばナナミちゃん。
探してタオル返さな。

俺は体制を起こして、立ち上がろうとした。
だが、階段の下から声が聞こえてきた。


「呼び出して、ごめん」


静かな階段に男の声が響いていく。


「ううん。 …どうしたん?」


次いで聞こえてきた…ぎこちない関西弁。
俺は、すぐにそれが誰だか分かった。

間違いなく…あの女や。

俺は身をひそめて、こっそり聞き耳を立てる。