「今から帰るん?」
ナナミちゃんは首を縦に振った。
…やっぱり、ナナミちゃんの態度がぎこちない。
「…じゃあ」
以前なら、ここで会えば正門まで一緒に行ってた。
…でも、今は違う。
俺は背を向け玄関口の方へ歩きだした。
…しゃあないな、濡れて帰ろ。
「………っ拓馬くん!!!」
外に出ようと足を踏みだしたとき、後ろから呼び止められた。
俺は何も言わずに振り返る。
すると、ナナミちゃんは駆け寄ってきた。
そして、俺の隣で傘を差す。
「濡れる…」
俺は大して身長が高くない。
それやのに、ナナミちゃんは俺よりも小さい。


