昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り、力也は教室に戻った。
俺は1人、下駄箱に向かう。

…あー、まだ雨降ってるし。

クラスごとに分けられている傘立てに、手を伸ばす。


えっ、俺の傘ないやんけ!
誰なよパクったやつ。


仕方なく靴を履き替えていると、反対側の下駄箱からカサカサと音がした。

誰か帰るんやろうな、と特に気にせず玄関口まで行くと…ちょうど、帰る相手と鉢合わせになった。


「拓馬くん……」


ナナミちゃんが、驚いた面持ちで俺を見る。
少し困った顔にも見えた。


「久しぶりやな」


俺は気にせず、゛ふつう゛に話しかける。


「…うん」


どこかぎこちないナナミちゃん。
でも、別に俺が勘ぐる理由はない。