俺は目を閉じて、川の流れを耳で感じていた。


「……っ!ねぇ!」


肩を揺すられ、目が覚める。
知らん間に寝てた…?

目をしっかり見開くけると、嫌な顔が瞳にうつりこんだ。


「よかった、生きてた。
 こんなとこで寝たら風邪引くよ?」


あの女は、心配そうに顔を覗きこんできた。

…2人の視線が交差する。

瞳はきれいな茶色で、くりくりの二重。
透き通るような、肌。

…俺は思わず見とれてしまった。


「なんかついてる?」


その目で、あの女は俺を強く見つめる。


「うっさい! …全然かわいくないわ」


そう…かわいくない。
何、見とれてんねん俺。

ついさっきまで思っていたことを、否定する。