女って、こんなん好きやでな。
俺には゛きれい゛っていうか、゛おもろい゛しか当てはまらん。


「…拓馬くんって、彼女とかおるん?」


線香花火の火花がバチバチと散る。


「おらへんよ」


俺は線香花火を見つめながら答えた。


「そうなんやぁ。……好きな子とかは?」


「おらへんよ」


俺は平然と答えながら、゛火が落ちた瞬間に言う願い事゛を考えていた。

2人は無言で、儚くきれいに咲く線香花火を見つめる。



…線香花火の火が落ちたとき、ナナミちゃんは再び口を開いた。


「……拓馬くんのこと、好きかも」


小さく、ささやかれた言葉。
隣を見ると、ナナミちゃんの顔は真っ赤に染まっていた。