そういえば、名前知らんかった。
…ナナミちゃんっていうんや。

目の前で、さらさらと風になびく黒髪。
大概の男って、゛これ゛好きやでな。


「ビーチバレーしようぜ!」


黒髪に思わず見とれていると、突然、耳元で大きな声が響いた。

力也がビーチボールを片手に、ニヤニヤと俺を見ている。


「なんやねん、お前」


よく見るとその横には……あの女がいた。


「ナナミ、ビーチバレーしよっ」


あの女は、ナナミちゃんと手を取り合い砂浜に走って行った。


「あの子、狙ってん?」


力也はケラケラ笑いながら、俺の頭をたたく。