だが、気にせず龍は、あっさり答える。


「うーん。 なんか、その子のことばっか考えてるんす。
 かわいいなぁとか、手ぇ繋ぎたいなぁとか」


……その子のこと、ばっかりか。


「拓さん、好きな人でも出来たんすか?」


カケルはニヤニヤしながら俺を見る。


「っあほか!」


俺はカケルの頭をたたいてベランダに出た。

…手ぇ繋ぎたいとかは思わん。
けど、最近…頭から離れへん。
なんか、ずっと考えてる。


「って、ちゃうから」


俺があの女を?
ないない、絶対ちゃう。

自分の気持ちを必死に否定する。
だが、あの女の顔が浮かんできた。
頭から消えない、離れない。


「俺、おかしなったんとちゃん?」


俺は、ヘラヘラ笑う。

生意気やし、俺よりでかい。
頭良いしスポーツ出来る。
むかつくとこばっかや。

…そのわりに、不器用やねんな。
たこ焼き、きれいに焼かれへんし。