「それ言いに来たん?」


一応気づかい、俺はたばこの火を消す。


「それもあるけど…」


ルイは言葉を濁らす。


「じゃあ、何?」


俺はベランダの壁にもたれる。
はっきり言えよ、気になる。


「分からん。でも、拓馬と話したいなって…」


ルイは瞬時に目を逸らした。
それと同時に、俺の心臓がうるさくなる。


「…私、何言うてんやろ」


ルイは顔を真っ赤に染めると「気にせんといて」と言って、ベランダを出た。


「なに、今の……」


俺は片手を額に当ててしゃがみこむ。

…俺と話したいって。
いつも、しゃべってるやん。

なんやねん、あいつ。

俺もなに、ドキドキしてんねん。


「あーもう、うっさいなぁ!!」


鼓動の速さについていけない。
ほんま…わけ分からん。