おばあちゃんと喋る時はとてもゆっくりだ。
まったりと時間が流れていく。
静かな住宅街の縁側でおばあちゃんと世間話。
都会の人には、縁の無い話だと思う。
田舎ならではの楽しみ。
そして、港町という楽しみも。
「ねぇ、おばあちゃん。今日の潮の匂いはどう?」
海から漂う潮の匂い。
俺は、昔から潮の匂いが好き。
おばあちゃんと潮の匂いの話をするのが好き。
「そうだね。哀しげだよ。何かを切なく思ってるよ。」
おばあちゃんは、俺の見方を面白いというけど、俺にとっては逆だ。
おばあちゃんの見方は面白い。
潮の匂いに哀しいも何も無いのに、おばあちゃんはそう言う。
「冷えてきたね。閉めようか。」
「うん。」
立ち上がり、縁側の扉を閉める。
「もうすぐ6時だね。」
おばあちゃんが何気なくそう言った。

