「おばあちゃん。」
おばあちゃんは、庭にあるちいさな池を見ていた。
その表情は少し、悲しげだった。
おばあちゃんは俺の声で顔をあげて、微笑んだ。
「おかえり。」
おばあちゃんの微笑みをみると、なんだかホッとする。
俺は完全におばあちゃん子だ。
お母さんは弟に気をかけてばかりで。
お父さんは仕事で忙しい人だから。
おばあちゃん子になった。
俺はおばあちゃんの隣に腰を掛ける。
「今日はいい天気だね。」
おばあちゃんが言った。
「そうだね。真っ青だね。」
「でも、夕方も綺麗だよ。」
この縁側はおばあちゃんの特等席。
背が高い木も無く。
うるさい音も無く。
住宅街なのにね。
「夕方の空って。悲しげじゃない?」
「そうかい。」
「そうだよ。一日が終わるんだなーって。」
「火志は、面白い見方をするね。」
「そう?」
「うん。」

