「あっ。そういえば。」
優希のもとへ走っていった、奏華先輩が思い出したようにまた戻ってきた。
「?どうかしました?」
「さっき、火志君が見てたカーテンが閉まった部屋、私の知ってる子だよ。」
え?
先輩の知ってる子?
先輩の同級生なのかな。
「同級生ですか?」
「ううん。私の友達の妹の友達。」
「へぇ。」
「うん。笑顔が柔らかい子らしいんだけどね。」
先輩はそう言いながら、カーテンの部屋を見上げた。
その表情は、切なかった。
先輩は見上げたまま、口を開いた。
「その子ね。来てないの。学校に。」
「え……」
「前、会いに言ったんだけど追い返されちゃった。」
「・・・」
「まだ何も言ってないのに、『帰ってください』っていう紙が出てきてさ。」
「部屋からですか?ひどい人ですね。」
そういうと先輩は、首を横に振った。
「怖いんだと思う。人が。紙に書いてあった字が震えててさ。」
先輩は鞄の中を探り始めた。
「あ、あった。」
先輩はそう言うと、紙を渡してきた。
「ずっと、引っ掛かってて…。いつも、持ってたんだ。」
先輩が言うように、その字は震えた字で。
帰
っ
て
く
だ
さ
い
。

