「すみません」
僕は、彼に声をかけた。彼は何も答えない。やっぱり、聞くだけ無駄なのかな?
「僕に、あなたの能力をわけてください」
なぜか、そう言っていた。普通は、おしえてください、だろ?いきなり意味不明の言葉を発した僕をおじさんはじろっと見てきた。
「いいよ」
へ?僕は耳を疑った。いいの?
っていうか、能力移せるの?
「こっち来い」
そう言われて僕は、おじさんの前に立った。おじさんの右手が僕の額に触れる。
頭が、割れるように痛い。
「気をつけろ」
おじさんはそう言って僕から手を離した。気をつけるって、何に?