「すいません部長。
嘘です。」
素直にそう伝えれば、はっ?、と目を見開いてこっちを見る部長。
「嘘だと…!!??」
「ええ。」
がーん、と、漫画のような効果音が聞こえそうな程の落胆っぷり。
見てるこっちは正直噴き出しそうだが、本人は至って真剣なので迂闊に笑えない。
なんとか、ぎりぎりで堪える。
「あーもう!れいれい!
嘘つくなよな!!!!
ていうか、なんで棒読みなんだこらぁああああああ!!!!!!」
そう言ってキッと軽く私を睨み付けた。
落ち込んだり怒ったり、ほんと、部長は面白い。
私の(笑いの)ツボだ。
でも、っと。
「部長。
そろそろ下りましょうね。」
決して小柄ではないが、女子のように細身な部長を両手で持ち上げて、窓から部長を強制的に離す。
私にキレてバランス崩してお陀仏とかしゃれになんないし。
「な、なにしてんの!
れいれいって!」
そんな私の配慮に気づいていない先輩は、私の両手の中で、じたばたと暴れる。
あ、ばかこら部長――!
