ひらひら、と、いつものように制服のスカートを揺らそうとしたが、本日は体操服だったために空振りに終わった。


そうだ。
さっき暑さに負けて、脱いだんだった。

そんな場に不釣り合いな思案していると、ずっと下を向いていた彼女が、ものすごい勢いで顔をあげた。




「そ、そんなこと、気にしません!!!
だって、如月さん、
スッゴク素敵だもん!!!」




顔を真っ赤にして必死に捲し立てる彼女は、贔屓目なしにかわいい。

その想いも、嬉しいし、可愛いんだけど。


どうしたものか、と苦笑いを浮かべると、彼女の真っ赤だった顔は次は真っ青へと豹変していった。

そして、恐る恐るというように私を覗き込んだ。



「もしかして、気持ち悪いとか、不快に思ってたり……しますか…?」




語尾は消え入りそうなほどに、小さかった。

瞳も、今にもこぼれそうな程に涙をためて、自信なさげに揺れている。



ああ、しくった。

心の中で、自分自身に舌打ちをしてから、そっと、目の前の彼女に近づいた。


血の気が引いたその頬にそっと触れ、できうる限り近くで、にこりと笑って見せる。


女の子が大抵、好いてくれる笑顔で。




「気持ちは嬉しいよ。
ほんとに。
恋愛に性別とか関係ないとも思うし。」




さらっと、耳からこぼれた髪をそっとかけて、さらに頭を撫でる。


やっと血の気が戻ってきた彼女に、少しだけほっとする。


女の子泣かせるの、嫌だしね。