――突然ですが。

我が校の我が部活は、そこそこ実績があって、そこそこ名も知れていて。


学校に一つはあるような、皆の憧れの部です。

“天体部”。


…意外と地味?


そんなことは無いんです。



実績…はともかく、名が知れてるのも、皆から憧れの部活であるのも、ちゃんと理由があるんです。



急に何故、そんな話をしたのかと言うと…




「あー、…っと、結城先輩。」



柄にもなく、少しだけ、どもってしまった。

…ほんと、らしくない。

ふう、と相手に気付かれないようにひとつだけため息をこぼす。




「…………なんか用?」




ふわりと先輩の髪が揺れ、先輩の顔を拝めたかと思うと、気だるそうに私を睨む瞳と目があった。


この人こそ、過疎化が進んでいたという我が部が人気No.1にした原因の一番の理由である。


カッコいい、イケメンというより、ただただ美しいとい言葉に最もふさわしいそのお顔は、入学早々、男女問わずで虜にしてしまったらしい。

さらに、それだけにとどまらず。

校内でのファンクラブはおろか、校外でも熱狂的なファンがいるらしい。


そんな彼が入った部活だ。
憧れにならないわけがない。


性格はちょっとアレで近寄りがたいらしいが、変に群れてないところは、男らしく、好感が持てると思う。



「……おい、」

「はい、」



……別に恐くは無いし苦手でもないんだけど。
というか、むしろ結構好きなんだけど。

何て言うんだろう。
私の周りにこんなタイプは、珍しいから正直言って絡みづらい。




「ゆーりちゃんから伝言です。」




“ゆーりちゃん?”と端正な顔が軽く右に傾く。

さらりと揺れた落ち着いた色の茶色に、ゆーりちゃ…ゆうり部長とは違い大人の色気ってものがただ漏れな気がする。

ゆうり部長も素材は良いんだし、こんな風にすれば少しはまs……有り得ませんね、分かります。




「部長っすよ、部長。」




そういえば、ああ、『ゆう』の事か、と納得したように頷く。